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和田 成一*; 安藤 達彦*; 渡辺 彩*; 柿崎 竹彦*; 夏堀 雅宏*; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 横田 裕一郎; 小林 泰彦
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 79, 2015/03
これまでのマイクロビームを用いた細胞の局部照射実験でバイスタンダー効果の誘導には細胞核の損傷応答だけでなく細胞膜応答も重要であり、細胞膜応答分子であるスフィンゴミエリナーゼがその応答に関与することが明らかになってきた。しかし、スフィンゴミエリナーゼがどのようにして細胞間情報伝達に関与しているかはまだ明らかになっていない。そこで本研究では、照射後に細胞外に分泌されるスフィンゴミエリナーゼが、細胞から放出され、細胞間情報伝達に関与する膜小胞であるエクソソーム内に含有されているかを解析した。照射したグリオーマ細胞をから細胞外に放出されたエクソソーム中にスフィンゴミエリナーゼが含まれるか解析するため、培養上清からExo Quickによるエクソソームの精製を行い、抗スフィンゴミエリナーゼ抗体を用いたウエスタンブロットを行った。その結果、照射によって細胞外に分泌されたスフィンゴミエリナーゼは主にエクソソームの形態で細胞外に分泌されることが明らかになった。この結果からバイスタンダー効果においてスフィンゴミエリナーゼ自身がバイスタンダー因子としてシグナル伝達に関与することが示唆された。
赤松 憲; 横谷 明徳
JAERI-Research 2002-015, 30 Pages, 2002/08
原子の放射線吸収断面積に着目した癌治療用新規放射線増感剤の探索・設計・合成を行い、その化学物質としての細胞毒性ならびにX線に対する放射線増感効果を調べた。評価にはヒト大腸癌細胞を用いた。PBBA誘導体(含臭素)は、増感効果は確認できなかったが、三ヨウ化安息香酸ナトリウムに関してはその効果が確認された。さらに膜損傷増強を目的とした、細胞膜局在性放射線増感剤(セチルFITC,セチル臭化FITC,セチルヨウ化FITC)では、これらすべての細胞膜集積性を確認した後、前者2つについて増感効果を評価した。その結果、両者とも同程度の増感作用が認められた。
伊藤 均*
食品照射, 35(1-2), p.1 - 6, 2000/09
微生物の放射線感受性は生残菌数を測定する平板培地の種類によって異なることがある。本研究ではヒドロキシラジカル等と酸素の放射線感受性に果たす役割を解明することを目的として異なった種類のラジカル捕捉剤、異なった種類の培養基を用いて放射線感受性の機構について検討した。大腸菌S2株のD値は窒素ガス飽和に比べグリセリン添加で著しく増加したがポリエチレングリコール添加でのD値は無添加系と同じであった。また、一酸化二窒素飽和でのD値は窒素ガス飽和より若干低下する程度であった。また、これらの照射条件では平板培地の種類による差は少なかった。一方、酸素ガス飽和または窒素ガス+蟻酸添加系ではD値は小さくなり培地による感受性の差も大きく認められた。蟻酸共存下ではスーパーオキシドラジカルが発生しており、これらの結果はスーパーオキシドラジカルがDNA損傷ばかりでなく細胞膜障害に関与することを示している。